「オトナ川口春奈」を作るため、スタイリストが考えた社会で戦うモードスタイル

「オトナ川口春奈」を作るため、スタイリストが考えた社会で戦うモードスタイル

TBSでは川口春奈が主演を務める金曜ドラマ『9ボーダー』を放送中。
本作は19歳、29歳、39歳と、各年代のラストイヤー=“9ボーダー”真っ只中の3姉妹を描く、ヒューマンラブストーリー! 物語の主軸となる“ボーダー世代3姉妹”、次女の大庭七苗(川口春奈)、長女の六月(木南晴夏)、三女の八海(畑芽育)がモヤり、焦りながら、自分の生きる道を模索していく。
本作はそんな3姉妹の個性的なファッションも見どころのひとつ。スタイリングを担当する金順華氏に川口春奈演じる七苗のファッションについて話を聞いた。

モノトーン×ストレートラインのモードスタイルは社会で戦う七苗の鎧

『9ボーダー』よりスタイリストインタビュー

台本を読んで、真っ先に金氏が考えた七苗像は“モノトーンな大人スタイル”。「七苗を川口春奈さんが演じると決まった時点で絶対モノトーンがいいというのがありました。同じ新井順子プロデューサー、脚本の金子ありささん、主演が川口さんの作品『着飾る恋には理由があって』(2021年)のとき、川口さんが演じた主人公はカラフルな装いだったので、イメージを変えたいなと。キャラクターの設定も29歳で、破天荒な姉と脱力系の妹に挟まれたしっかり者の次女ということでベーシックにするのがわかりやすい。あとは自営業の六月(木南)と違って、七苗は会社員だったところも大きいです」。

『9ボーダー』よりスタイリストインタビュー

モノトーン以外にはこんなポイントも。「ロングベストやワイドパンツを合わせたり、ストレートなラインが出るように作って、男性的な型を意識しています。ぴったりとしたシャツ、スキニーパンツなどボディーラインが見えてくると女性っぽくなりますが、七苗はどちらかというと男性中心の社会で戦っている雰囲気にしたかった。グレーの多少柔らかい色味のときはセットアップにしたり、靴はヒールやフラットシューズではなくローファーを合わせています。全体をコンパクトにまとめすぎず、歩いているときの迫力が出るような、わざとモードなスタイルにしています」。

仕事ができる=スーツじゃつまらない。見た目も重視

『9ボーダー』スタイリスト1

懸命に仕事に励む七苗はとても優秀だ。「最終的に一番バリバリに仕事ができそうに見せたいならスーツを着せるのが手っ取り早いです。ただ今回は、昔ながらの銭湯で育った3姉妹ながら、おしゃれでポップな世界観にしたいという新井プロデューサーとふくだももこ監督からの意向がありました。七苗の会社もそんなに堅苦しい会社ではないので、シャツの上に変形型のニットを重ねたり、アクセサリーや小物で遊んだりしています。ただ形も色も崩してしまうのはよくない。七苗はクライアントにもよく会いに行くし、TPOを意識して、七苗=常識人という枠の中で組むようにしています」。

大きなバッグを抱える七苗と何も持たないコウタロウとの対比

『9ボーダー』よりスタイリスト1

七苗が持つバッグは大きめのものを用意していたそうだが、ふくだ監督からは「もっと大きなものを」というオーダーがあったという。「七苗の性格を考えたときに、バッグの中にはPCや家に持ち帰る資料などがたくさん入っているんだろうなと。代打もたくさん引き受けるし、常に慎重で、いろいろなものを準備して持っていそうな人というイメージがありました」。さらにバッグが大きいことが、見た目の“強さ”にもつながっている。「もう少し華奢なバッグを持っていると女性らしくまとまります。なので休日は七苗も小さいバッグを持ってオンオフを切り替えているんです」。さらに金氏は「そんな七苗と、物を持たない手ぶらのコウタロウ(松下洸平)の対比がいいな、と感じました。その絵面が好き」と語ってくれた。

コウタロウと出会い、大きな決断をした七苗。今後の服装の変化にも注目

『9ボーダー』よりスタイリスト1

気を張りつめて頑張っていた七苗。コウタロウと出会い、服装も徐々に変化していくという。「元々休日は、めがねや、グレーのニットにスカートなどいつもより柔らかいものを着せていました。ラブストーリーのパートになったときに、急にピンクの色味を入れたりするのは避けたかったので、モノトーンやベーシックカラーは崩していません。ただよく見ると、ボーダーやニットなど、かなりカジュアルになってきて、素材も柔らかいものになっています。いい意味で何か、彼女の肩から力が抜けていく感じが伝わればいいなと思います」。

■番組概要
[タイトル]
金曜ドラマ『9ボーダー』
[放送日時]
毎週金曜よる10時~10時54分

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